永遠のジャンゴ

7年前、愛知県の名古屋で喫茶店を経営していた事がある。好きな小説を並べて、好きなJAZZのCDを朝から晩までかけていた。不定期でJAZZのライブもやっていた。どれだけ聴いても飽きることはなかった。

 

ジャンゴ・ラインハルトの『 ジャンゴロジー 』は、16時や21時ごろよくかけていた。僕の中では「 ひと息つくための音楽 」として選んでいたと思う。ランチ終わりや閉店間際に流れると心地良く、鼻唄混じりにギターのメロディーをなぞった。

 

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ジャンゴ・ラインハルトの伝記映画『 永遠のジャンゴ 』を観た、今「 ひと息つくための音楽 」として聴いていた7年前の僕とは、ガラリと聴こえ方が変わってしまった。

 

第二次世界大戦中の話で、ジャンゴ・ラインハルトもその中でジプシー達と暮らしていた。ドイツ軍による締め付けで、家を追い出されていた。そんな中でも、夕暮れ時、演奏する姿は息がつまるほど美しくカッコいい。僕は煙草は吸わないけれど、あんな風に吸えたらな、と思う。

 

ドイツ軍は晩餐会にジャンゴ・ラインハルトに演奏を強要する。「 ブルースは演奏してはいけない 」「 速いテンポの曲はダメだ 」「 足でリズムをとってはダメだ 」とドイツ軍は注文する。ジャンゴ・ラインハルトは、ブルースも演奏し、足でリズムを刻み、テンポはみるみるスピードを上げ自由に伸びていく。その場で殺されても可笑しくないのに。

 

『 ジャンゴロジー 』はそんな時代を駆け抜けて1949年にローマのナイトクラブで録音されたもの。もし、彼が第二次世界大戦で命を無くしていたら、僕は聴くことはなかっただろうし、この映画も観ていないと思う。これを書いてる今も彼のリズムを刻む足音が聴こえる気がしてしまう。