アートライフ

夜中の2時に絶対に観てはいけない映画は存在する。デヴィッド・リンチドキュメンタリー映画『 アートライフ 』僕は週末の夜は2本から3本映画を観るから、この時間帯にも観るけど、こりゃあ、またヤバイ。

 

デヴィッド・リンチの映像作品だけじゃなくて、絵画なんか出てくるけど、どんなホラー映画より怖い。よりによって部屋を暗くして観ていると、冷蔵庫の唸り声や換気扇の機械音やエアコンの冷気やらが、部屋中に充満して、浮遊霊が漂っている感覚に襲われる。ソファーに座っている僕の手足を捕まえて、そのまま何処かに連れていかれそうで、僕は観てる最中何度も立ち上がり、部屋中のドアの鍵を確認した。

 

と、そんなことばかり書くと怖いばかりの映画か、と勘違いされそうだけど、それだけじゃない。

 

僕がデヴィッド・リンチで初めて観た映画は『 エレファントマン 』で、怖さより寂しくなったことを覚えている。それに似た種類の寂しさをこの映画で感じた。デヴィッド・リンチの悪夢の絵画は、誰にでも解りやすいものではなく、恐怖すら覚える。それでも描き続けることで、自分の世界を保っていたことを考えると『 エレファントマン 』と重なる。そんなわけで、デヴィッド・リンチの最後のセリフで泣いてしまった。

 

うん。でも夜中の2時に観る映画じゃない。その日の夜は、何度も殺される夢を観たから。